波花

「ほんとに、歩くだけでいいの?」  靴下をビニール袋につめこみ、靴を手に持って波打ち際を一瞥して、おなじことをわたしより手ばやく済ませていた高嶋永句を振り返る。海を目前にはしゃいでいる永句ちゃんは「うん? そうだよ」と、…

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8:03

 高嶋永句はつくづく音楽に愛されている。  春のまるくやわらかな空気を連想させるピアノの音を聴きながら、ため息まじりに実感する。一昨日発表した新譜の一曲目、だけども既に何回聴いたかわからない。慣れた足取りで乗り込んだ通学…

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