No Mobic

   大学に入って出来た友達の中でも、高嶋永句は群を抜いておかしかった。  始まりはと言えば、大学に入ってひと月ほど経ってから開かれた学部の新歓だった。男たちに群がられていたその夜一番の美人である彼女は、すべて…

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虎視眈々と燦々と

   あたしの知る限り。天野歩という人間が恋をしたことは、なかったと思う。テンポが一から百まで何もかも包み隠さずあたしに全部自白してる、ってわけじゃないから断言すんのは、「いや、断言していいでしょ」「あ、そ」ま…

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Hencefront

   最悪の出来事だった。  単純に、俺からしたら、本当マジで最悪の出来事だった。  俺、枯袖(かれそで)日宵は、バンドを組んだことがない。ずっと一人でギター一本だけ持って歌ったり弾いたりギターを捨てようとした…

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畢竟よ

   高嶋永句という女の子がいる。  彼女はとても音楽が好きで、好きで、それだけでこの暴力みたいな海を、海みたいな暴力を、泳いできた。  一方、俺こと天野歩は、泳ぐことを諦めた人間だったと思う。  だって、俺が…

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六月、某、雨上がり

   二十七歳で死んだら伝説になれる。  なんて話をしたら、きっと彼女は「生きて伝説になろうよ」と言うだろう。  あっけらかんと、なんでもなく、ごく当たり前のことのように。  わたしたちの誰もが、二十七で死ぬこ…

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