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 高嶋永句はつくづく音楽に愛されている。  春のまるくやわらかな空気を連想させるピアノの音を聴きながら、ため息まじりに実感する。一昨日発表した新譜の一曲目、だけども既に何回聴いたかわからない。慣れた足取りで乗り込んだ通学…

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花菖蒲の独白

 昨日、彼女は早退した。昼休みに入ってすぐ、図書室で借りた本を返すと言って、教室を出て――チャイムが鳴っても戻らなかった。騒々しくサイレンを光らせたパトカーが数台校門の前に止まって、教室は不穏にざわめいていた。  副担任…

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 つめたい真冬の水に浸かりながら、たくさんのことを思いうかべる。  お花畑のようにカラフルなケーキ、聞かせてもらったCDの三曲目、おさがりでもらった白い綿のワンピース、高校の花壇に咲いていたパンジーと紫陽花、校門の横にあ…

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person/星花慰

三橋葵(みつはし・あおい) 秋雨叶多(あきさめ・かなた)  同級生 桔梗灰(ききょう・かい)    生徒会長 去篠和(さりしの・なごむ)   先輩 寿賀睦月(すが・むつき)    親類 千振翠(せんぶり・みどり)   近…

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