14:12

 才能は音楽を特段美しくしない、と彼女は言った。  彼女にとって、音楽はそれだけで美しい。  そう感じられることが、僕からすれば既に、才能だ。  晴れた春の休日、新宿の街を歩く。大きな目的はなく、時間の許す限り、道行く人…

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2022年4月通販のお知らせ

通販サイトをBASEからBOOTHに移行します▼ サイト移転に合わせ、一部商品(再販予定が無いもの、製作日がかなり以前のもの等)は移していません。 また、no she誕生日アクリルも下記の通りしばらくグッズ制作をゆるやか…

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憂綴る手

 売れない小説家が最期に海を見に行く、なんてエモいもんオレは見たこと無い。大体の奴が無いだろう。同じ電車に乗り合わせた人間のうち誰が売れない小説家で、人生全部に追い詰められてて、昔妻と行った海へ向かってるとか、そんな設定…

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(三橋葵)

三橋葵【みつはし-あおい】 ――The affection だから彼女は花束だった。 piece:星花慰 age:16 *星花慰開始時点で高校1年生 birthday: 8/19 height:166cm blood t…

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波花

「ほんとに、歩くだけでいいの?」  靴下をビニール袋につめこみ、靴を手に持って波打ち際を一瞥して、おなじことをわたしより手ばやく済ませていた高嶋永句を振り返る。海を目前にはしゃいでいる永句ちゃんは「うん? そうだよ」と、…

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8:03

 高嶋永句はつくづく音楽に愛されている。  春のまるくやわらかな空気を連想させるピアノの音を聴きながら、ため息まじりに実感する。一昨日発表した新譜の一曲目、だけども既に何回聴いたかわからない。慣れた足取りで乗り込んだ通学…

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花菖蒲の独白

 昨日、彼女は早退した。昼休みに入ってすぐ、図書室で借りた本を返すと言って、教室を出て――チャイムが鳴っても戻らなかった。騒々しくサイレンを光らせたパトカーが数台校門の前に止まって、教室は不穏にざわめいていた。  副担任…

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 つめたい真冬の水に浸かりながら、たくさんのことを思いうかべる。  お花畑のようにカラフルなケーキ、聞かせてもらったCDの三曲目、おさがりでもらった白い綿のワンピース、高校の花壇に咲いていたパンジーと紫陽花、校門の横にあ…

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person/星花慰

三橋葵(みつはし・あおい) 秋雨叶多(あきさめ・かなた)  同級生 桔梗灰(ききょう・かい)    生徒会長 去篠和(さりしの・なごむ)   先輩 寿賀睦月(すが・むつき)    親類 千振翠(せんぶり・みどり)   近…

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